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「あの、どこか具合でも……?」
いつもよりも少しだけ、疲れの見える香津美さんが心配になって聞いてみたんです。もし体調がすぐれないのならば、無理をさせる訳にはいきませんから。
けれど、香津美さんは私を見て困ったように笑うだけで……
「大丈夫、少し疲れているだけなの。今日は仕事も休みだし、どうってことないわ。」
そう言って「ふうっ」っとため息をつく香津美さんはいつもよりもどこか色っぽくて……同性なのになぜかドキドキしてしまいます。
「……それで、昨日は柚瑠木さんと無事に仲直りできたのかしら?月菜さんのその様子だと、聞かなくてもなんとなくわかるけれど。」
さっきまでの憂い気な表情を一変させ、香津美さんは楽しそうに私を問い詰め始めました。ああ、こういう所はいつもの香津美さんのままの様です……!
「あのっ、柚瑠木さんはあの後すぐに帰ってきたんです。そんな彼から離れようとした私に柚瑠木さんは「諦めないで」って、そう言ってくれたんです。私、その言葉が嬉しくて……」
あの時の柚瑠木さんを思い出すだけで胸がいっぱいになって、心がほわほわとするんです。そんな私の話を優しげな笑みを浮かべて聞いてくれている香津美さん。
だけど、その微笑みの後ろにどす黒いオーラが見えるのは何故でしょうか……?
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