契約結婚でも特別にして?

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「そんな答えをしてくるのも、月菜(つきな)さんらしいです。そうやっていつだって僕の事でその胸を一杯にしてくれる。」  そんな事を嬉しそうに言う、柚瑠木(ゆるぎ)さんは狡いです。少し前まで私の言葉に困ると言ってたくせに、今は私の言葉一つ一つにこんなに喜んでくれるのですから。 「では、柚瑠木さんはどうなんですか?柚瑠木さんはどんな時の私が好きかって言えますか?」  ちょっとした仕返しのつもりだったんです。私がこんなに迷っているのだから、柚瑠木さんだって簡単に言えないだろうって、そんな風に考えていたんです。だって私はお嬢様育ちという以外、真面目しか取り柄の無い平凡な人間ですから。  だけどそんな私に柚瑠木さんは…… 「もちろん、言えますよ。」 「……え?」  彼はそんな事は当たり前だと言わんばかりに、何の迷いもなくそう言い切ったんです。柚瑠木さんの好きな私、それはどんな時? 「……僕のために一生懸命努力してくれている月菜さんは健気で愛らしいし、貴女のその明るい笑顔は僕を癒してくれる。僕を直向(ひたむ)きに慕ってくれる、そんな月菜さんの想い全てが可愛くて好きです。」  本当に柚瑠木さんはどんな時の私を好ましいと思っているのかを、一度も途切れることなくスラスラと言ってくれたのでした。
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