契約結婚でも特別にして?

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 顔を上げたままの私の額に、柚瑠木(ゆるぎ)さんは自分のおでこをコツンと当てて。そのまま唇が近付いて来るのを感じ、もう一度口付けするのだと思いゆっくりと瞳を閉じたその時……… 【ピロリン、ピロリン、ピロリン……】  こんな時にまた……?でもこの着信音は私のスマホのではなくて。慌てて柚瑠木さんを見ると、彼は眉間に皺を寄せ目を細めていて。  さっきまで温かく私を見つめてくれていた彼の瞳は、まるで別人のように冷たいものへと変わっていたんです。柚瑠木さんがこんなに不機嫌な顔をすることがあるなんて。 「もしもし?貴方達夫婦は揃いも揃って、どうしていつも僕らの邪魔ばかりを……」  イラつきを隠そうともせず、私の前で会話を始めた柚瑠木さん。電話の相手はきっと彼の幼馴染の聖壱(せいいち)さんなのでしょう。  柚瑠木さんはごく自然に私の肩を抱くと、ソファーへと移動しました。 『邪魔?へえ、俺の電話が邪魔だと思うようなことを、あの冷徹男と呼ばれてきた二階堂 柚瑠木がね……くくっ!』 「余計なお世話です。聖壱だって結婚後は家に帰ると連絡しても繋がらなくなったと、サポート役の沖名(おきな)さんが愚痴ってましたよ。」  先にソファーに座ってた柚瑠木さんを見て、私も彼の隣に座ろうとしました。ですが柚瑠木さんに手招きされて、もっと彼の傍へと近付くと……
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