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そう言って私に確認してきた柚瑠木さんの視線は鋭く、私の手首を掴む力はいつもよりもずっと強かったんです。私が香津美さんや聖壱さんに勝手に相談したことを怒っているのでしょうか?
……でも柚瑠木さんの表情は怒っているというよりも、何かに焦っているように見えたんです。
「……答えてください、月菜さん。」
柚瑠木さんと契約結婚して最初は戸惑う事ばかりでしたが、今はお互いに色んなことを話せるようになりました。相手の事を【特別】な存在だと、認め合ったはずです。
ですが、柚瑠木さんはいつになっても大事な事を隠したままで……
「もし……聞いていたら柚瑠木さんはどうするのですか?私から逃げますか?」
柚瑠木さんの言うあの事が、何を意味するのかを私は知りません。そこまで私に知られたくない理由も、何も彼は話してくれませんから。
「……逃げるのは、月菜さんの方でしょう?いつかは僕を置いて。」
柚瑠木さんは俯くと、苦しそうにそう言ったんです。その言葉を聞いた瞬間、頭にカッと血が上る感覚……そう、怒りを感じたんです。
私は柚瑠木さんを受け入れたい、傍にいると何度も伝えたはずなのに。それを全く信じていてくれていなかったなんて。
「逃げません、私は柚瑠木さんと向き合いたいんです!貴方の闇も苦しみも全部分かち合いたい、柚瑠木さんはどうなんですか?」
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