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次の日の朝、起きてリビングに行くとテーブルの上に一枚のメモ用紙。それだけで柚瑠木さんが私と顔を合わせないように早朝に出て行ったことを理解しました。
そっとメモ用紙を手に取り開いてみると……
【おはようございます、月菜さん。僕は先に仕事へ行きますが、貴女はゆっくりと過ごしてください。】
結婚してすぐの頃も、こうしてこのテーブルにメモ用紙が置かれていました。その時と何一つ変わっていない柚瑠木さんの言葉に、傷付かないわけではありませんが……
「これくらいじゃ、へこたれません。まだ私に出来る事があるはずですから。」
今日はお料理教室の日、香津美さんと杏凛さんに会って元気を分けてもらおうと思っています。その時間が来るのを心待ちにしながら、今の私に出来る事を頑張りました。
ですが……
「……え?今日は香津美さんはお休みなのですか?」
「ええ、さっきスマホにメッセージが入ってましたよ。月菜さんは気付かなかったのですか?」
お料理教室に先に来ていた鏡谷 杏凛さんにそう言われて、慌ててバックからスマホを取り出してみようとしましたがスマホはどこにも入っていなくて。
「……スマホを忘れてきてしまったようです、すみません。」
そんな私に杏凛さんは少し驚いたような顔をしましたが、彼女は自分に送られてきた香津美さんからのメッセージを見せてくれました。
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