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そこには香津美さんから「今日は少し体調が良くないから、お休みします。月菜さんをよろしくね。」と、彼女らしいアッサリとしたメッセージ。
いつも明るい香津美さんの笑顔が見れないのは少し残念です。彼女にメッセージを送ろうにもスマホは忘れてしまうし、落ち込んでしまいそうです。ですが……
「月菜さんて意外とおっちょこちょいなんですね。しっかりとした方だとばかり思っていたから、ホッとしました。」
そんな私を見て杏凛さんはふわっと微笑んでくれたんです。普段あまり笑ってくれない杏凛さんの笑顔は、年上だというのを忘れてしまいそうなほど可愛らしくて思わず見惚れてしまったんです。
……これは杏凛さんの旦那さんの匡介さんが心配するのも納得です。この笑顔を見たら、男性が寄って来ても仕方ないですから。
「どうかしたんですか、月菜さん?」
心配そうに私を見る杏凛さんに「大丈夫です」と伝え、2人で調理に取り掛かりました。
料理教室が終わって帰る準備をしようと振り返ると、杏凜さんの様子が少しおかしくて私は慌てて彼女の傍へ。それと同時に教室のドアが開き、駆け寄った匡介さんが蹲っていた杏凛さんを軽々と抱き上げます。
「あの、杏凜さんは……?」
「君は杏凛の友人の二階堂 月菜さんですよね。すみませんが俺達について来てもらえますか?」
匡介さんはそう言うと、私の答えも聞かずに先に歩きだしてしまって……私は急いでバックを肩にかけ2人の後を追いかけました。
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