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「あの……大丈夫だったのですか、杏凛さんは。」
杏凛さんの顔色は先程よりもずっと良くなっているし、呼吸だって整っています。だけどあまりに匡介さんが険しい顔をして杏凛さんを見つめていたので、思わず聞いてしまったんです。
「ああ、大丈夫だ。君にまで迷惑をかけてすまない。驚かせてしまっただろうが、杏凛の友人になってくれた君たちには、ちゃんと彼女の事を知っておいて欲しくて。」
匡介さんのその言葉で、やはり杏凛さんがこういう状態になるのが珍しいくない事が分かりました。しかしいったい何故、杏凛さんは何かの病気なのでしょうか?
「詳しく聞いても大丈夫でしょうか?杏凛さんと一緒の時に私が何か役に立てることがあるのであれば、力になりたいんです。」
必死で私の手を握った杏凛さん。そんな彼女の姿が柚瑠木さんと重なって、何でもいいから自分に出来る事をしたいと思ったんです。
「……よくある事なんだ。杏凛はPTSDによるフラッシュバックに襲われ、こうしてパニック障害を起こす。俺はいつもこうして杏凛をここに連れてくることしか出来ない。」
「PTSD……」
つまり杏凛さんは何かの理由で心に深い傷を負っているという事でしょうか。それは多分、柚瑠木さんも同じで……
「もしかしてそういうのに、夜中に酷く魘されたりすることもありますか……?」
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