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私が想像した通り、それってつまり……まだ小学生だった柚瑠木さんを交通事故に見せかけて、消してしまおうとした人がいるという事なんですよね。
その事実にどうしようもないくらいの寒気を覚え、身体中に鳥肌が立つのを感じました。
「最初から狙われていたのは僕だったんです。僕が真澄さんにあんな我が儘を言わず、いつも通り家にさえいれば何も無かったはず。彼女が僕を庇い事故に合う事も……だから全部、僕の所為なんです。」
事故に関わりの無い私が何を言っても、柚瑠木さんが自分を責める気持ちは変わらないかもしれません。ですが、そんな柚瑠木さんを少しでも癒してあげたいんです。私に出来る事があるのならば……
私はソファーから立ち上がると、柚瑠木さんの目の前に移動してそのまま両腕を彼に向かって伸ばしました。柚瑠木さんの頭を引き寄せると、私の胸へと優しく抱き寄せたんです。
いつもの身長差では、彼をこうして抱きしめてあげることは出来ませんから。
「今の私では柚瑠木さんの過去を変えることは出来ません。それでも私は、柚瑠木さんが少しでも安らげる場所になりたいんです。だから……」
驚いたように私を見上げる、柚瑠木さんの額にそっと口付けて。
「もう、一人だけで苦しまないでください。貴方の妻である私をもっと頼ってくれませんか?」
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