契約結婚の全てを知って…

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 優しくして欲しいと言ったのに、柚瑠木(ゆるぎ)さんには聞こえて無かったみたいなんです。いつもの余裕をなくした彼に、深く何度も口付けられて……  息をしようと薄く開けた唇から、躊躇なく侵入してくる彼の舌の動きに私はただ翻弄されるばかり。息が苦しいのに、柚瑠木さんから与えられる感覚に頭がぼうっとしてきます。  まるでお酒に酔っているかのように、私は柚瑠木さんに酔わされているのかもしれません。  ……ゆっくり離れる互いの唇はすでに欲に濡れていて、これから起こる事をリアルに想像させられてしまいます。少しだけ怖い、だけど柚瑠木さんだけのものになれることが嬉しい。  この時間、柚瑠木さんが女として見てくれているのは間違いなく妻である私なんです。 「月菜(つきな)さん、無理してませんか?」  さっきのキスを反省したのか、私の濡れた唇を拭いながら聞いてくる柚瑠木さんが可愛くて。少しだけ意地悪をしたくなってしまったんです。 「ふふ……無理しているって言ったら、止めてくれるんですか?」  そう言うと柚瑠木さんは少し驚いた後で困ったような顔をしましたが、すぐに私の額に口付けて…… 「止めてあげません、月菜さんはとっくに僕だけのものなんでしょう?」  すべて外されたボタン。柚瑠木さんの手によって前開きのワンピースが左右に開かれて、彼の唇が優しく私の肌に触れようとした、その時――――
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