6658人が本棚に入れています
本棚に追加
真澄さんは柚瑠木さんの言葉で、ようやく彼の隣に私がいる事に気が付いたようで……
「ご、ごめんなさい!久しぶりに柚瑠木君に会えたことで、興奮して周りが見えて無くて。」
こちらを向いて申し訳なさそうに謝ってくれる真澄さん。私も背の高い柚瑠木さんに隠れてしまっていたので、彼女だけが悪いわけではないのです。なので「気にしないでください」と言おうとしたのですが、いつの間にか真澄さんに片手を握られていて……
「貴女が彼の奥さん?こんな可愛いお嫁さんを、柚瑠木君がねぇ……」
「はい、柚瑠木さんの妻の二階堂 月菜です。初めまして、真澄さん。」
なぜ私の手を握られてるのか分からないままですが、とりあえずきちんと挨拶をしなくては。いつものように深く頭を下げてゆっくり顔を上げてみると、真澄さんは柚瑠木さん見て嬉しそうに微笑んでいました。
柚瑠木さんはそんな真澄さんに対してムスッとしているのに、頬だけが少し赤く染まっていて……
「あの、柚瑠木さん……どうしたんですか?」
「月菜さんの言葉にテレてるんでしょうよ。本当に、可愛くて素敵な奥さんを掴まえたのね。」
テレる……どうしてでしょうか?いつもと同じ言葉しか言っていないのに。私にはまだ柚瑠木さんのテレるポイントが分かりません。
「余計な事は言わないでくれませんか、真澄さん。それにこの人は僕のなので気安く触らないでもらいたいんです。」
そう言って柚瑠木さんは真澄さんから私の片手を奪い返します。まさか女性相手にヤキモチなんてことはありませんよね?
最初のコメントを投稿しよう!