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白を基調としたシンプルなリビングで、柚瑠木さんと一緒にソファーに座って真澄さんを待ちます。真澄さんがいるキッチンからは、コーヒーの香りがして……
「さっきはすみませんでした。真澄さんは昔から誰に対しても距離感が近く、スキンシップ過剰な所があったんです。でもまさか大人になった僕に、子供の頃と同じように接してくるとは思っていなかったので。」
さっき私が二人の触れ合いを見て、嫉妬していたことを気にしてくれたのでしょう。確かに真澄さんの性格をよく知らなかったこともあり、不快に感じたことは事実です。
だけど……
「真澄さんはそれだけ柚瑠木さんに会いたかったのだと思います。それに、柚瑠木さんがきちんと真澄さんに私の事を言ってくれましたから……」
そう……あの時の柚瑠木さんはまるで、今一番大切なのは妻である私だと言ってくれているようでした。その言葉だけで充分安心することが出来たんです。
「だから大丈夫です」と彼に向かって微笑んで見せると、柚瑠木さんは手を伸ばして私の頬を優しく撫でてくれました。
「……へえ、柚瑠木君のそんな顔は初めて見たわ。」
いつの間にか人数分のコーヒーを乗せたトレーを持った真澄さんがテーブルの向こうに立っていました。いったいいつから見られていたのでしょう……?
「そうですね、僕は月菜さんと出会って自分の気持ちに素直になることが出来るようになりました。彼女が僕の色んな表情を引き出してくれるんです。」
「柚瑠木さん……」
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