契約結婚を終える時には…

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「そうですよね、月菜(つきな)さん?」  柚瑠木(ゆるぎ)さんに優しくそう言われて、私は飛び上がりそうになるほど嬉しくて。私が貴方のそういう存在になれるのならば、喜んで傍に居させてもらいます。  言葉に出来ずコクコクと頷くと、柚瑠木さんも柔らかく微笑んでくれました。 「今の柚瑠木君には、月菜さんという貴方を支えてくれる存在がいる。もう……全部話していいわよね?」  今の私たちの関係を見て安心してくれたようで、真澄(ますみ)さんも少し緊張の解れたような表情をしていました。これからが……柚瑠木さんが本当に知りたかった話なんですね? 「ええ、お願いします。どんな真実を知っても、僕は月菜さんと前に進む道を選びましたから。」  もう一度強く握られた手、私もしっかりと握り返して前を向きました。柚瑠木さんと一緒に、私も彼の過去をしっかりと受け止めるつもりで…… 「私が二階堂家に柚瑠木君の家庭教師として通いだしてから、父は良く私の部屋を訪れるようになったわ。最初は就職したばかりの娘を気にかけているのかと思っていたのだけど……父はやたらと柚瑠木君が何をしたのか、どんな少年なのかとそんなばかり聞きたがったの。」  ……真澄さんのお父さんは、最初から柚瑠木さんの性格や行動を調べるために真澄さんを二階堂家に通わせたのでしょうか?
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