契約結婚を終える時には…

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真澄(ますみ)さん、僕も同じように自分を責めてきました。僕が二階堂(にかいどう) 柚瑠木(ゆるぎ)でなければ貴女が事故に巻き込まれる事など無かったはずだと」 「違う! 柚瑠木君の所為じゃない。まだ子供だった貴方が悪い事なんて一つもない……」  お互いに相手を守りたくて、自分を責めて数十年も過ごしてきた二人。だけどその優しさから二人ともすれ違っていたように見えて…… 「……あの、もう終わりにしませんか?柚瑠木さんも真澄さんも、お互いに大切な人を守りたかっただけですよね。こうして二人とも元気に今を過ごしている、それで幸せなら過去はもういいんじゃないですか」 「月菜(つきな)さん……?」  だってこのままではずっとお互い自分が悪かったと責め合いをするだけな気がしたんです。柚瑠木さんも私も、そんな事のためにここに来たのではないはず。 「私は柚瑠木さんと過去を受け入れ、これから二人で前に進むためにここに来たんです。真澄さんだって同じ気持ちだから、こうして会ってくれたんですよね?」 「……そうね、私も前に進めてない部分があったのね。本当に月菜さんの言う通りだわ」  顔を隠していた両手を外して、真澄さんは微笑んでくれました。全ての過去を無かった事にすることは出来ないでしょうが、自分を責めるのは終わりにしていいと思うんです。 「柚瑠木さんも、ですよ。分かってますか?」  なぜか驚いたような表情をしたままの柚瑠木さん。私は繋いだままの彼の手を引っ張ってそう言いました。
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