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私が寝室の扉を開ける、それは柚瑠木さんに私の覚悟を試されているようにも感じます。もし私がここで扉を開けることが出来なかったとしても、彼は怒らないでしょう。
ですが、私だって柚瑠木さんと距離を縮めたい気持ちは同じなんです。だから私が寝室のドアを開けることに迷いはありませんでした。
寝室のベッドにそっと私を乗せると、柚瑠木さんはリモコンで常夜灯だけを点けました。薄暗いとはいえ、それでもお互いの姿はしっかりと確認することが出来ます。
「これくらいは許してください、僕だって月菜さんの姿が見たいんです」
彼の台詞の意味を理解し、かああっと顔が熱くなっていくのを感じます。
せめて香津美さんのように素晴らしいスタイルだったら見られても恥ずかしくないかもしれない。ですが、私の身体はお世辞にも大人っぽいとは言えなくて……
「ガッカリしませんか……?」
不安になってそう聞けば、柚瑠木さんは呆れたように溜息をついてしまったんです。そして彼は私の額に軽く拳を当てて……
「僕は月菜さんだから見たいんです、ガッカリなんてするわけがない」
ハッキリとそう言ってくれたんです。私だから見たい、柚瑠木さんがそう言ってくれるのならば……
「私だけ見てください、これから先……柚瑠木さんの妻である私だけを」
「ええ、これから先は月菜さんだけです」
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