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「……変では、ないですか?」
私は身長も低く童顔が悩みなのです、ですからこのように大人びた格好をするのは初めてでした。自信が無かったのです。でも柚瑠木さんはそんな私の髪にそっと触れて……
「付けてくれたんですね、髪飾り。今日の月菜さんにとても似合っていますよ」
私を見つめ、優しく微笑んでくれました。たまに見せてくれる柚瑠木さんの笑顔はとても素敵なのですが、胸がドキドキ煩くなってしまうのです。
ほら、他の女性も彼の微笑みをうっとりと見つめていらっしゃいます。この笑顔を独り占めして誰にも見せたくないと思ってしまう私は心が狭いですよね……
「それにしてもどうしてそんなに変だと思ったのですか? 香津美さんも一緒に選んでくれたのでしょう」
「あ、はい。ですが……今日は何故かここに来るまでに、色んな人にジロジロ見られているような気がして」
柚瑠木さんは私が昨日香津美さんと出掛けたことを知っていらっしゃったようです。驚かせようと思って、黙っていたのにバレバレでしたね。
そう思って笑って柚瑠木さんの顔を見ると、なぜか彼はさっきまでの笑顔ではなく無表情で私を見つめていました。
「あの……柚瑠木さん?」
何を考えているのか、彼は私の問いかけにも反応しません。私は何かまずい事を言ってしまったのでしょうか?
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