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「でも、悪くないです。柚瑠木さんにこうやって守られてるみたいで」
私は柚瑠木さんのカーディガンの袖を持って、頬にあててみます。ふわふわ柔らかな感触と、柚瑠木さんの付けているフレグランスの香……
優しく柚瑠木さんから抱きしめられてるように、胸が暖かくなります。思わず「うふふ」と笑みが零れました。
「最近、月菜さんが小悪魔っぽくなってきているように感じるのは僕だけでしょうか?」
「……小悪魔、ですか?」
私には柚瑠木さんが何を言っているのかよく分かりません。私は柚瑠木さんに対して、気付かないうちに悪い事をしてしまっているのでしょうか?
「そうですよね、月菜さんは無自覚でしょうね。僕が勝手に振り回されているだけで」
そう言って困ったように溜息をつく柚瑠木さん。そう言えばいつだったか、聖壱さんと香津美さんにもそんな事を言われたことがあったような……?
だけど本当に私は柚瑠木さんを振り回してしまっているのでしょうか?だけど私はただ……
「あの……私は柚瑠木さんの事が大好きなだけですよ?」
私が思っている事をそのまま彼に伝えると、柚瑠木さんは驚いたような顔をした後で「ふーっ」と息を吐くと私を見つめて……
「このタイミングでそういう発言止めてもらえませんか? 逆効果なんですから」
……私はまた、何か失敗してしまったようです。でも逆効果とはいったい何の事なのでしょうか。
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