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柚瑠木さんはコホンと咳払いをした後、車を発進させました。今日は彼と二人でどんな一日が過ごせるのかとドキドキしてきます。
車はすぐに高速道路へと入り市街地から離れて行きます。ナビもつけず、柚瑠木さんはいったいどこに行こうとしているのでしょうか?
「あの、これからどこに連れて行ってくれるのですか?」
「秘密ですよ。今日は月菜さんの誕生日なので、貴女を楽しませるのは僕の役目ですから」
どうやら柚瑠木さんはこの日のために色々計画を立ててくれていたようです。あの日の約束をちゃんと覚えてくれたことも、こうして私を喜ばせようとしてくれることも嬉しくて……
「私、幸せです。柚瑠木さん……」
思ったことをそのまま呟けば柚瑠木さんはクスクスと笑って、片手で私の髪をサラリと梳いてみせます。
「まだデートは始まったばかりですよ? 月菜さんはもう少し欲張りになった方がいい。貴女の我が儘だって僕はもっと聞かせてほしいくらいですから」
「柚瑠木さんは私を甘やかしすぎです。本当に我が儘放題な妻になっても知りませんからね?」
そう返しても柚瑠木さんは「そんな月菜さんも見てみたいですね」なんて余裕の表情なんです。いつか本当に貴方を困らせてみせますから!
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