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「……そういうの、嬉しいけれどあんまり言わないでください」
柚瑠木さんは私をたくさん褒めて甘やかしてくれますが、なかなか慣れなくて恥ずかしいんです。赤くなる顔を嬉しそうに見つめる彼に視線ですら、戸惑うのに。
「どうしてです? 僕は思ったことをそのまま貴女に伝えているだけなのに」
本心だから仕方ない、そう言って微笑んで私を黙らせてしまう柚瑠木さんはちょっとだけ狡いと思います。上目遣いでジッと睨んでも見ても……
「月菜さんがそんな顔も見せてくれるから、やはり止めてあげれません」
「もうっ……柚瑠木さんは意地悪です!」
結局……そうやって彼の良いように話を持っていかれ、車に乗り込むまで私のどこが魅力的だとか聞かされ顔を真っ赤にするしか出来なくて。
本当に少し前の私たちの関係からは想像出来ない事ばかり。
柚瑠木さんと他愛もない話をしていると、スマホにメッセージを受信したメロディ。確認すると香津美さんからの『お誕生日おめでとう』の言葉。
すぐに「ありがとうございます」と返すと、またメッセージが送られてきて……
『素敵な時間を柚瑠木さんと過ごしてね。今度の休みにみんなでお祝いしましょう』
と。そんな香津美さんの言葉が嬉しくてスマホを抱きしめてしまいました。
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