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「香津美さんですか? 貴女がスマホを抱きしめる程、喜ぶようなメッセージを送ってきたのは」
そう言うと柚瑠木さんは片手を伸ばし私からスマホを取り上げると、開いたままになっていたバックの中へ。まさかスマホや香津美さんにまでヤキモチを妬いてはいませんよね?
「今度私の誕生日のお祝いをしてくれるそうなんです。それと……今日は柚瑠木さんと素敵な時間を過ごしてね、と」
ちゃんと柚瑠木さんとの時間を一番に考えてくれてるんですよ、香津美さんだって。だから、そんな拗ねたような顔はしないでください。
「……彼女に言われなくても、そうするつもりですけど。今日は月菜さんを思いきり甘やかす予定なんですから」
しっかりと宣言されて、にっこりと微笑まれると「もう十分です」とは言えなくて。これ以上こんな素敵な旦那様に甘やかされるなんて、私はどうすればいいのでしょうか?
「……はい、よろしくお願いします」
なんて、ずれた返事をすれば柚瑠木さんは楽しそうにクスクス笑って。そんな彼の笑顔だけで本当に私の心は満たされていくんです。
「もうすぐ着きますね。今日は平日ですし、そこまで混んでいないでしょう」
ウインカーを出してそのまま左折すると、そこには大きな動植物園の看板が見えて。もしかして今日の目的地はここだったのでしょうか?
きっと動物も花も大好きな私の為に、この場所を選んでくれたのですよね? 柚瑠木さんは。
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