番外編 貴方が選んでくれた物だから 後編

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番外編 貴方が選んでくれた物だから 後編

 来た時と同じように柚瑠木(ゆるぎ)さんの運転で、彼の計画した次の目的地へと向かいます。  私は先程のお店で買ったばかりの小さなキーホルダーを取り出すと、柚瑠木さんから彼のキーケースを出してもらいました。  私は結婚当初、柚瑠木さんから白クマのマスコットの付いた鍵を渡されました。後でそのマスコットにはGPSが付いているのだと彼から謝られ、捨てて構わないと言われたんです。私は中のGPSは処分しましたがマスコットはそのまま変えませんでした。  だってこの白クマのマスコットは私に勇気をくれ、柚瑠木さんをあの事件の場所まで連れてきてくれたのですから。  私は柚瑠木さんのキーケースに先程買ったキーホルダーを付けようとしますが、車が揺れるのでなかなか上手くいきません。そんな私を見て柚瑠木さんが…… 「もしかして、そのキーホルダーを僕のケースに?」 「私の選んだキーホルダーを、柚瑠木さんにもつけて欲しいんです。こんなお揃いは、嫌ですか……?」  勝手な事をしないで欲しいと怒られるでしょうか? ですが、ちょっとだけでも妻としての自分の存在をアピールしたいなんて思ってしまう事だってあるんです。  柚瑠木さんはきっと職場でもその他の場所でも、周りの女性が放っておくわけがない魅力的な人だから。 「つけていいに決まってます、僕のために貴女が選んでくれたものだから」
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