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ワクワクしながら待っていると、店員の男性がお皿に乗った丸い何かを持ってきて。クリームに包まれたようなその球体は、モンブランには見えないのですが……
「こちらは、このままで少々お待ちください」
にっこりと笑顔の素敵な店員さんに思わず「はい」と微笑み返します。すると目の前に座っている柚瑠木さんから何やら視線を感じて……彼を見ると何故か不機嫌そうで。
「どうかしましたか、柚瑠木さん?」
「今……少しだけ、この店を選んだことを後悔しそうになっただけです」
ふう、とため息をついて困ったようにそう話す柚瑠木さん。さっきまで楽しそうにしていたのに何故そんな急に思ったのかが分かりません。
私が何か柚瑠木さんを不満にさせるような事をしたのでしょうか。
「ええ? せっかく連れて来てくれたのになぜそんな事を?」
「貴女が店員にそんな可愛らしい笑顔をみせるから、ヤキモチ妬いてるんですよ。僕は」
そんな風に拗ねてみせる柚瑠木さんはとても可愛くて、私の胸がキュンキュンしてしまい。思わず口元がふにゃふにゃとニヤついてしまうんです。
「……なにを笑ってるんですか、月菜さんは?」
「だって、嬉しくて。今日は柚瑠木さんが私の事を独占したがるような事ばかり言うから」
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