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お店を出て柚瑠木さんの腕に手を伸ばそうとしていた時、私のスマホのメロディーが流れ始めました。平日の昼間に電話がかかってくるのは珍しく、誰だろうと思い鞄からスマホを取り出しました。
「え? どうしてまた香津美さんから……?」
普段の彼女ならば今はまだ仕事中のはずなんです、いったいどうしたのでしょうか? 先程メッセージをくれた時はいつも通りだったのに何かあったのかと心配になりまます。
「出てもいいですよ、どうせ香津美さんか聖壱でしょう?」
「あ、はい。ありがとうございます」
どうしようか迷っていると柚瑠木さんがらそう言われたので、急いで車に乗り込んで通話ボタンをタップしました。
「もしもし、香津美さん? どうしたんですか、え……あの今、なんて?」
スマホの向こうからの香津美さんの言葉に、私は驚いて一瞬だけ自分の耳を疑いました。なぜなら彼女は少し照れ臭そうな声で……
『だからね、その……赤ちゃんが出来たの。私と聖壱さんの』
「え、ええ?二人の赤ちゃんが、ですか!?」
私が大きな声を出してしまったので、隣に座る柚瑠木さんにも全て伝わり彼も吃驚した顔をしています。
……まさか、香津美さん達がこんなに早く赤ちゃんを授かるなんて想像もしてなかったのです。私は妊娠という事をまだ現実的に考えてはいなかったのかもしれません。
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