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『そうなの。昨日検査薬を使って陽性反応が出てね、今日はホスピタルの産婦人科で調べてもらったの。まだ早い時期だから迷ったんだけど、月菜さんにはやっぱり話しておきたくて……』
そう照れ臭そうに話す香津美さんは、いつもより声が優しくて。きっと今、香津美さんはとても幸せを感じているのだと分かります。
香津美さんがお母さんに……新しい命を授かった彼女のこれからを想像すると、なんだかドキドキしてきて。
「ありがとうございます! 私、何でもお二人の力になりますからいつでも頼ってください。何なら赤ちゃんのおむつだって……!」
『あははは、気が早いわよ月菜さん! とりあえず、また会ってゆっくり話しましょう。大事な二人の時間を邪魔してごめんなさいね』
さすがにおむつの話は行き過ぎだったようで、香津美さんから思い切り笑われてしまいました。その会話も筒抜けだったようで隣の柚瑠木さんも肩を震わせています。
「笑いすぎです、柚瑠木さん。ちょっとだけ先走ったことを言ってしまいましたが、それはこの話が嬉しかったからで……」
「分かっていますよ。そんな所が、月菜さんらしくていいと思ってるんですよ」
なんて……そんな私が嬉しくなるような言葉で誤魔化そうとしてませんか、柚瑠木さん?
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