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「それにしても香津美さんのお腹に赤ちゃんが……ふふ、なんだかドキドキしてきますね」
美しい香津美さんにそっくりな子でしょうか、それともピリッとしたイケメンの聖壱さん似? 男の子なのか、女の子なのかを想像するだけでもワクワクしてきます。
「……そう、ですね」
「どちらに似ても美形なのは間違いないでしょうし、きっと二人も素敵なパパとママになるんでしょうね。いいなあ……」
新しい家族を迎え素敵な家庭を築いていくであろう、狭山家の事を考えると私まで幸せな気持ちになってくるような気がして。
「羨ましいですか、月菜さん」
ジッとこちらを見つめたままの柚瑠木さんはからそう聞かれて、私は深く考えることなく頷きました。この時私の頭の中は香津美さん達の赤ちゃんの事でいっぱいで……
「はい! 香津美さん達は私にとって理想の夫婦なんです。これからは新しい家族を迎えて、きっと……」
同じ契約結婚でも、前向きにそれを互いに想い合うものに変えていった二人。そんな香津美さん達に励まされて私もここまで頑張れたのですから。
だから……
「じゃあ作りましょうか、僕たちの赤ちゃん」
「……はい?」
さらりと言われた言葉をきちんと理解することが出来ず、間の抜けた返事をしてしまいました。
「ですから、僕らも赤ちゃんを授かるように頑張りましょうか? と言ったんです」
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