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赤ちゃんを作る? それも私と柚瑠木さんの……赤ちゃん。
驚きで瞬きをする事も忘れて、ジッと柚瑠木さんの顔を見つめ返します。もちろん私達は夫婦として肌を合わせる事もありますが、今まで柚瑠木さんから子供を望む言葉は一度も聞いた事が無かったので……
「その、柚瑠木さんはそれでいいんですか? そんな大事なことを私だけの意見で決めるというのは……」
「馬鹿ですね、月菜さんは」
柚瑠木さんにハッキリとそう言われて、私はビックリしてしまって。何度も柚瑠木さんに鈍いと言われてきましたが、私はまた何かおかしなことを言ってしまったのでしょうか?
「僕たちは本当の夫婦になったばかりですし、月菜さんはまだ若いから子供の事を急かすような事はしたくなかった。ですが、今日の貴女を見ていたら僕らも新しい家族を望んでもいいのかと思えて」
「柚瑠木さん……」
もしかして柚瑠木さんは私の事を考えて、今まで気を使ってくれていたのでしょうか? 私はそんな柚瑠木さんの思いに気付きもしないまま、彼に頼りきってしまっていたのですね。
「もちろん月菜さんが大変になる事は分かってます。ですが僕だって父親として、出来るだけの協力はするつもりで……」
「……いいえ、駄目です」
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