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勝手に口の端が上がってしまいそうになるのを、必死で押さえてるのですがきっとバレているんでしょう。柚瑠木さんは少し拗ねたような顔を見せて……
「笑わないで聞いてって言ったのに。貴女よりずっと年上の男が子供にまでヤキモチ妬いてる、それくらい僕は月菜さんに夢中なんですよ」
「……そ、そうですか」
いつもはスマートに私をエスコートし色んなことを教えてくれる、そんな大人の包容力のある柚瑠木さんにもそんな風に思う事があるだなんて。
確かに香津美さんの妊娠を聞いた事で、私達の夫婦としての考え方に変化はありました。だけど……
「ですが、月菜さんと僕の子に早く会いたいのも本当の気持ちで……」
「ふふふ、では自然に任せましょうか? そんなに焦らなくても、私達にはそれが一番だと思うんです」
私だってもう少し二人の時間を過ごしたい気持ちはありますし、赤ちゃんの事もゆっくりと柚瑠木さんと考えていきたい。
私が人差し指を立てて一番というジェスチャーをすると、柚瑠木さんにその手を掴まれ引き寄せられます。
「わわ、柚瑠木さん? 危ないですよ、こんな……」
彼に引き寄せられ、上半身を運転席の柚瑠木さんへと預けた状態になってしまって。慌てて顔を上げようとすると、チャリっと耳元で音がしたんです。
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