番外編 貴方が選んでくれた物だから 後編

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 私は柚瑠木(ゆるぎ)さんが思ってるほどいい子ではないのです。貴方が思うよりずっと狡くて欲張りになったりもするんです。だって私はもっともっと柚瑠木さんと一緒の時間を過ごし、色んなことをしたいから。   「月菜(つきな)さん、本当に貴女という人は……」  さっきよりもギュッと抱きしめられて、私も柚瑠木さんの背に腕をまわします。車内という事もあり、ちょっとだけ苦しかったりもしますが今は黙って柚瑠木さんに身を預けました。  抱きしめてくる柚瑠木さんは先程のモンブランの香りが残ってて、私はその甘い匂いで胸がいっぱいになる気がします。 「……この後の予定は、今度のデートの時にしてもいいですか?」 「えっと、それは構いませんがいったいどうして?」  まだ充分遊ぶ時間は残っているのに、柚瑠木さんは私から離れると無言で車を発進させたのでした。  もしかして私は彼を怒らせるような事をしてしまったのでしょうか? 不安になってチラチラと横目で柚瑠木さんの事を見ていると…… 「月菜さんが悪いんですよ? こっちが甘やかそうとする度に、可愛い事ばかり言って僕を困らせるから」 「そ、そんなに困ってるんですか? 柚瑠木さんは……」  ショックです、まさか私の発言で柚瑠木さんをとても困らせていただなんて。どうして私はいつもこういう事にすぐに気付けないのでしょうか。
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