番外編 新しい出会いは必然で 前変

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「着きましたよ、月菜(つきな)さん」 ・ 「……え? このお屋敷って、確か」  不思議に思った私の顔を、柚瑠木(ゆるぎ)さんは困ったように笑ってみています。ですが、私はここに一度来たことがあって……  あれは結婚して間もなくの事、彼の親族に私の事を紹介すると言われた時にここにも来たはず。ですが、あの時には千夏(ちなつ)さんと思われる女性は間違いなくいなかったのです。 「すみません、月菜さん。あの時の僕はまだ貴女を信用していなかったから……千夏の事は紹介しませんでした」  申し訳なさそうに謝る柚瑠木さん、ですがそれは契約結婚という形だったので仕方ありません。ですがそこまでして千夏さんを隠そうとしているのは何故なのでしょう?   柚瑠木さんだけでなく、多分千夏さんの周りの人すべてが彼女を…… 「よく来たな、柚瑠木。しかしいつまでも千夏なんかと関わるのは、二階堂(にかいどう)財閥を背負うお前に良い事ではないぞ」  車から出た私達を迎えてくれたのは柚瑠木さんの叔父さんの、二階堂 (はぎ)さん。彼は二階堂財閥で重役を務めていらっしゃると聞いてます。  ですが千夏さんと柚瑠木さんは従兄妹なのに、どうしてそんな事を言われなければならないのでしょうか? 目の前の人が柚瑠木さんの叔父さんでも、少し腹が立ってしまいます。 「相変わらずでね、僕は千夏と関わるのをやめる気はサラサラないと何度も言ってるのに。それよりも早く彼女を呼んできてください」
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