番外編 新しい出会いは必然で 前変

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 普段の柚瑠木(ゆるぎ)さんとは違う、少し低くて冷たさを感じる声音。いつもはこんな威圧的な言い方はしないのに、もしかして叔父様の先程の言葉に怒りを感じて……? 「全く、私はお前の事を心配して言ってやっているのに。おい、さっさと部屋から千夏(ちなつ)を連れてきなさい! 私は用事があるので、悪いがこれで失礼する」 「構いませんよ、僕たちが用があるのは千夏だけですから」  大人げない態度をとる叔父様に、柚瑠木さんは笑顔で手を振ってみせます。私がその様子をオロオロと見ている事しか出来なくて。  叔父様が運転手付きの黒い車に乗り込んで走り出しそのまま見えなくなると、屋敷の奥から紺のワンピースを着た女性がこちらに向かって歩いてきました。  ……この女性が、柚瑠木さんの従兄妹の千夏さんでしょうか? 「どうしてあんな風にあの人を怒らせたの? 今までの柚瑠木兄さんなら、あんな人いちいち相手にしたりしなかったのに」  車の去って行った方を見つめながら女性は困ったように溜息をつきました。 「さあ、どうしてでしょうね? 色々納得出来ない事がはっきり形になって見えるようになったからかもしれません」 「本当に変わったのね、それとも変えられたのかしら? ねえ、月菜(つきな)さん?」  私の名を呼びニッコリと微笑んでくれる黒髪の女性、間違いなくこの人が千夏さんなのだと思いました。
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