番外編 新しい出会いは必然で 後編

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「これで良かったのでしょうか? 私には千夏(ちなつ)さんがあのお屋敷で幸せな時間を過ごしているとは思えないんです」  千夏さんの事情を何も知らない私が口を出すのは良くないと分かっています。ですがレジデンスに帰り着くと、我慢出来なくなり柚瑠木(ゆるぎ)さんに自分の感じたことを話してしまいました。  そんな私をソファーへと座らせ柚瑠木さんはキッチンへ、彼の後姿を見ながら私は深く息を吐きました。  私が感情的になった所で簡単に解決するような問題ではない、だからこそ柚瑠木さんも時間をかけて千夏さんを説得してるのでしょう。 「あの家族は屋敷に千夏を隠すことしか考えてない、そして千夏もそれに従ってしまってる。そんな事がもう十年以上続いてるんです」 「そんな……どうして千夏さんは反抗しないんですか? 他の家族とそんな扱いが違うなんて変です!」  私が前にあいさつした時は、千夏さん以外の方は両親と自然に話をしてました。千夏さんの様に怒鳴られたりなど…… 「いつか、千夏も月菜(つきな)さんには話すと思います。僕だって彼女が望めばあの場所から出してやることは出来るのですが、頑なに拒否をするので」 「……そうなんですね。千夏さんにも考えがあるのでしょうし」  この夜は私達は二人、何か千夏さんに出来ることは無いかと遅くまで話し合いました。    ……そんな彼女にとても大きな変化が起こるのは、少しだけ先の事。
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