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香津美さんは持っていたバックに中から何かを取り出すと、テーブルに丁寧に並べ始めました。鞄から一つ出してはまた一つ、全部で十個ほど並べられたのは……
美形の男性のアクリルキーホルダーにアクリルスタンド。メモ帳にポストカードと卓上カレンダー。コロコロとした手のひらサイズのぬいぐるみ等だった。
「香津美さん、これはいったい……」
「今大人気のアプリゲーム【キングのお姫様】のキャラグッズよ。私は今この第二王子のマルス様を攻略中なの」
アプリゲーム、ですか? 普段あまりスマホを使わないし、両親も厳しかったので私はほとんどゲームをやったことがありません。
どんな内容か想像も出来ないでいると……
「あのっ、私もやってます! 【キングのお姫様】は男性キャラがもの凄く魅力的なんですよね」
意外です、いつもは大人しい杏凛さんがスマホを取り出し画面に線の細い男性キャラが映っているのを見せてくれました。
もの凄くどうでもいいことかもしれませんが匡介さんと正反対なんですね、杏凛さんの好みの男性って。
「前にね、料理教室の男性講師が素敵だと言っただけで聖壱さんに酷い目に合わされたからね。今は二次元の男性に癒されようと思って、ふふふ」
ええと、そういう問題なんでしょうか? 私がチラリと杏凛さんの方を見ると、彼女も少し困ったような表情をしていて……
ああ、なんだかとてもいやな予感がします。
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