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「やっぱり私、今日は止めておきます! 気にせずお二人でどうぞ」
香津美さん達にペコリと頭を下げた後、私は目の前のウーロン茶を手に取りました。
本当は私も甘いものが大好きで、マリトッツォだって食べたいのです。ですが数日前のバスタイムに私は大変な事に気付いてしまったから。
……この事だけは夫である柚瑠木さんに気付かれたりしたくない、だから大好物のデザートも今は我慢するしかなくて。
「どうしたの、月菜さん。いつもだったら……ああ、もしかして月菜さんもそうなの?」
香津美さんは意味深な笑みを浮かべて私を見ています。その隣で杏凛さんは瞳を大きく開いて口に手を当てていました、いったいどうしたというのでしょう?
「私もって、いったい何の話ですか?」
「……香津美さんは、月菜さんに妊娠したのかと聞いていらっしゃるのだと思いますよ」
微笑む理由を教えてくれない香津美さんの代わりに杏凛さんがそう教えてくれたのですが、いったいどうしてそんな話になったのでしょうか?
「私はちゃんと話したんだから、月菜さんも私達に隠し事は無しよね?」
楽しそうに私のお腹を見つめてくる香津美さん、このままでは本当に誤解されてしまいそうです!
「違うんです! 私は妊娠はしてません、これは本当のことなんです!」
私は思わずその場で立ち上がり、香津美さん達の前で自分のお腹に変化はない事を伝えました。ここまでする必要はなかったのかもしれませんが、私もその話に混乱してしまって。
「ええ? てっきり悪阻で食べられないのかと……だったら、いったいどうして? 月菜さんは甘いもの好きだったでしょう?」
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