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「本当に? 月菜さんがそんな風に悩んでる事に気付いてあげれなかった、僕の方こそすみません」
「いいえ! 悪いのは私の方です、ですから柚瑠木さんは謝ったりしないでください」
いつの間にお互い相手に謝る形になって、何度か繰り返した後で二人で笑いあいました。こんな些細な事で言い合えるほど、私達はお互いに素直な自分を見せることが出来るようになったのです。
「月菜さんが感情的になった時って、意外と面白いですよね。普段は絶対言わないような事を言ってくる」
「すみません、ちょっとだけカッとなってしまって」
結局こうやって柚瑠木さんは笑って許してくれる、こんな私でも面白いと言って責めずにいてくれるんです。だから私も素直に謝ってまたこの人の隣を歩くことが出来ます。
「でも、そうですね……次からデートする時はヘルシーな料理を選ぶことにします。僕たちの結婚式の日まで、ですけどね?」
「柚瑠木さん、ありがとうございます」
柚瑠木さんの手が自然と私の手を握り、その温かさに私の心も安らいでいきます。こうした何気ない幸せな時間がずっと続けばいい。
「素敵な結婚式にしましょうね、柚瑠木さん」
「ええ、二人にとって忘れられないほどいい結婚式に」
そうですね、二人ならきっと……茜色に染まっていく空を見ながら、これからもお互いに微笑み合っていきましょうね。
今度は二人とも隠し事しないように……そうですよね、柚瑠木さん。
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