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番外編 未来を貴方とずっと一緒に
新婦の控室の小さな窓から見える小さな池がキラキラと日の光を反射して綺麗です。
準備を終えて窓の外を眺めていると、本当にこの日を迎えることが出来たんだと胸が熱くなりました。
始めは順調だった式の打ち合わせも、柚瑠木さんの仕事のトラブルで上手く進まなくなってしまったり。何故か千夏さんの父である二階堂 萩さんが口を出してきて、柚瑠木さんと揉めてしまったりして……
それでもこうして予定した日に挙式を上げることが出来ると思うと嬉しくて仕方ないんです。
「そろそろ新郎さんがいらっしゃるでしょうから、少し席を外しますね?」
今まで傍についてくれていたスタッフがそう言って控室を出て行き、私はもう一度窓の外の景色を眺めていました。
しばらくして扉をノックする音、その次に私の名前を呼ぶ柚瑠木さんの優しい声。
「開けますよ、月菜さん」
「はい、どうぞ」
扉が開かれ、カツカツカツと私に近寄って来る柚瑠木さんの靴音だけが聞こえます。ドキドキと私の胸は高鳴り、どうにかなってしまいそう。
「こっち向いてくれませんか、僕の花嫁」
囁くような甘い声に身体を小さく震わせたあと、ゆっくり彼の方へと振り返りました。そんな私をジッと見つめて、彼が見せてくれた笑顔は今までで一番素敵でした。
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