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私は今日まで一度も開くこともしなかった柚瑠木さんのお見合い写真を見ました。
昼間に見たのと変わらない、綺麗な顔に氷のように冷たい瞳。写真の柚瑠木さんも何を考えているのか全く分かりません。
「それでも、私は頑張らなければ……」
私は小さい頃から「会社のため、家のために月菜はお嫁に行くんだよ」と言い聞かせられて育ちました。自分でもそのつもりで、覚悟をしていたはずだったのです。
……実は私には幼いころから決められていた婚約者がいました。
その方は私よりも随分年上の熊のように大きな男性で、初めて会った時私は恐怖で大声で泣いてしまったのです。
その方と結婚できる年になっても、私は何かと理由を付けて先延ばしにしてしまいした。
そんな事が続き……とうとう三か月前、婚約者の男性は別の女性と恋に落ち恋愛結婚を……
結果として、父と母をひどく落ち込ませてしまいました。私は二度とこんな風に父と母を失望させてはならないと思ったのです。
そんな時に二階堂財閥の御曹司、二階堂 柚瑠木さんとのお見合い話を受けることになりました。
会社にとっても十条家にとってもとても良い話なのです。だから――――柚瑠木さんがどんな人だったとしても、私は頑張らなくてはいけません。
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