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契約結婚が始まりました!
「ではそろそろ行きましょうか、月菜さん。」
片手で私の荷物を持った柚瑠木さんが、もう片方の手を私に差し伸べてくれて……柚瑠木さんは、本当にどこかの国の王子様のような人だと思って見ていました。
柚瑠木さんからの提案で、先に私達は籍を入れて二人で暮らしすことになりました。結婚式の事はこれからゆっくり二人で決めることになったんです。
……そう、実は今日から私達は一緒に生活をするんです。
「はい、これからよろしくお願いします。あの……柚瑠木さん。」
「何でしょうか?」
きちんと自分の意志を伝えることも大切だと思い、昨日ちゃんと練習しておいたんです。
「あの……契約結婚でも、私は柚瑠木さんの妻としてこれから頑張ります!」
練習したかいがありました、柚瑠木さんにちゃんと伝えることが出来た!
そう思ったのですが……
彼はそんな私を見て、ただでさえ冷たい印象を与える瞳をさらに細めて……
「月菜さんは余計な事はしなくていい、貴女は僕のお飾りの妻に過ぎないんですから。」
柚瑠木さんの言葉に心が冷たくなっていくような気がしました。契約結婚だということは理解していましたが、自分をただのお飾りの妻だとまでは思っていませんでしたから。
夫婦としてお互いのために何かできないかと考える私と、夫婦なのにお互い無関心でいようとしたがる柚瑠木さん。
どうやら私たちの新婚生活は前途多難そうです――――
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