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「月菜さん。ここが僕たちが暮らす新居になります。」
柚瑠木さんに連れて来られたのは、たくさんの有名人や資産家たちが暮らしていると聞く【ラピスヒルズビレッジ】。
テレビの取材もNGだと言わている謎の多く、噂でしか聞いた事の無かった特別な場所――――
「柚瑠木さん、あの建物は何でしょう?それにあっちは……?」
興奮して柚瑠木さんのジャケットの袖の部分を掴んでしまったのです。柚瑠木さんは私のその手をそっと離して……
「あの建物は総合病院です。セレブや有名人もよく来ますが、ヒルズに住んでいればいつでも診てもらえるようになっています。それと……月菜さんも必要な物があるでしょうから、後でそちらのショッピングモールに行きましょう。」
柚瑠木さんは丁寧に説明してくれましたが、私は彼に手を離されてしまったことが少しショックでした。
柚瑠木さんには私に対して特別な感情を持ってほしいなど、欲張りな事を願うつもりはありません。ですが、触れることすら拒絶されるとは思っていなかったので……
「どうしました、月菜さん?」
私が落ち込んでいる事に気付き、声をかけてくれる柚瑠木さん、決して悪い人ではないと私は思うのです。
だからこれが契約結婚とはいえ、私は柚瑠木さんのために出来るだけの事をしていきたいと思っているんです。
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