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「あのっ、それって……その……」
聞きたいけれどそういう夜の事情に疎い私は、柚瑠木さんにその意味をうまく聞くことが出来なかったのです。そんな私を見て柚瑠木さんは……
「契約結婚とはいえ僕たちはもう夫婦です。月菜さんも大人の女性なんですから、この意味は分かると思いますが?」
彼の言葉を理解した私は、その事を想像してしまい緊張で足が震えてしまいました。
ちゃんとそれも覚悟して嫁いできたつもりだったのに、妻としての役割にそういう事もあるのだと家族から教えられてきたのに。
「……僕はそう考えていますが、月菜さんが嫌がるなら無理強いをするつもりはありません。そこまで冷酷な夫になる気はないので。」
柚瑠木さんはそう言うと、ふっと目を伏せました……その一瞬だけ見えた彼の切なそうな顔に、私は思わず柚瑠木さんの手を取ってしまったのです。
「いいえっ、大丈夫です。私は柚瑠木さんの妻ですから!」
そして彼が驚くほどの大きな声で返事をしてしまったんですが、私の勢いはそのまま止まることなく……
「私は初めてですが頑張りますので、よろしくお願いします!」
私は柚瑠木さんの手を握ったまま、結婚初日からとんでもない事を言ってしまっていたのでした。
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