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「そうですか、分かりました。ではキッチンとバスルームの使い方についてなんですが……」
私の恥ずかしいセリフも柚瑠木さんはあまり気にする様子はなく、次の説明を始められました。もちろん握った手もすぐに外されてしまいましたし。
でも柚瑠木さんは私がどんな変な事を言っても、怒る様子も呆れた様子も見せてはくれません。いつ見ても彼の表情はほとんど変化をしないままで……
「これで説明は終わりますが、何か他に聞きたいことはありますか?」
キッチンやバスルーム、その他の家電などの説明をしてくれた後で柚瑠木さんはそう言いました。
私が彼に聞きたい事?それでしたら……
「どうすれば……ってくれますか?」
「すみません、月菜さん。よく聞こえなかったので、もう一度言っていただけますか?」
だって、とても小さな声でしか聞く勇気が無かったんです。だけど柚瑠木さんには聞こえなかったようで、聞き返されてしまいました。
「ですから、柚瑠木さんはどうすれば笑ってくれますかって聞いたんです……」
頑張ってみたけれど、やっぱり小さな声しか出なくて……これで柚瑠木さんにちゃんと伝わったかとても心配でした。
いつの間にか私は無表情な柚瑠木さんはどうすれば笑ってくれるのか、どうすれば怒ったり悲しんだりするのかとそんな事ばかりが気になるようになっていました。
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