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そのまま言葉を続けることが出来なくて、香津美さんとの電話の途中だというのにグスグスと泣き出してしまったんです。
「月菜さん?ねえ、貴女はもしかしてずっと泣いて……?」
私を心配してくれる香津美さんの言葉にも返事をしないまま、涙を流していると……
「……プッ、プーップーッ……」
香津美さんからの電話も切れてしまって、だけど彼女にかけ直す事も出来ず……こんな私では香津美さんに嫌われてしまうかもしれません。
私は柚瑠木さんも香津美さんも大好きなのに、どうすればいいのでしょうか?
【ピンポーン、ピンポーン……】
こんな時間にインターフォン?柚瑠木さんが帰って来る時は自分のカギを使うのでインターフォンは鳴らさないはず。では一体誰が……?
玄関のドアスコープで見てみると、そこには香津美さんの姿が。私は急いで玄関を開け、香津美さんに部屋の中へと入ってもらいました。
香津美さんは薄い部屋着のままで……きっと電話を切った後、急いでここまで来てくれたのだと思います。
「すみません、香津美さん。私……」
でもその言葉は最後まで言わせてもらえず、私は香津美さんに柔らかな胸の中へと抱き寄せられていました。
「月菜さんは謝る前に、苦しいものを全部吐き出しちゃいなさい。私相手に我慢する必要はないわ。」
香津美さんの言葉と温もりに、私は声を我慢する事も出来ず泣きじゃくってしまいました。
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