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両親は日が暮れても帰ってこない私を心配し、いつもの公園にいない私を必死に探してくれていたのです。
まさか隣町の公園まで行ってるなんて…と二人とも泣きながら私を抱きしめてくれました。
そのあと、ゲンコツが落ちるほど怒られたのはご愛嬌。
後で聞いた話ですが、私が遊んだ公園のある隣町で4人の子どもが、用水路で溺死しているのが発見させれたそうです。
そして4人全員が、親や親族から虐待されていたと。
それを聞いた私は冷や汗を垂らしながら、ただ震えることしか出来ませんでした。
あのとき、私は親とケンカをして家に帰りたくなかった。きっと他の子どもたちはもっと家に帰りたくなかったはずです。
あの笛吹き女は虐待されていた子どもたちを助けていたのでしょうか?殺すことで、その苦しみから解放していたとでも言うのでしょうか。
それとも報酬を支払わなかった大人たちに復讐していたのでしょうか?こどもたちの命を奪うことで。
童話に出てくるハーメルンの笛吹きが如く。
私は決して、両親に笛吹き女に連れていかれそうになったとは言いませんでした。
笛吹き女が連れて行くのが親に嫌われている、或いは嫌っている子どもたちなんだと私はそう考えていたのです。
あの一瞬でも笛吹き女についていきたいなんて親に知られたら、きっと嫌われ捨てられる。
だから私が言えることは、あの笛吹き女についていかなくて良かったということ。
だって行き着く先が親に捨てられ黄泉の国なんて、冗談でも御免被る。
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