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琉偉くんは、私の4つ年下の幼馴染。
ずっとお隣で、小学生の頃は、よく迎えに行ってあげて、一緒に登校してた。
お兄ちゃん2人との3人兄弟で育った私。
彼は、そんな私のかわいい弟みたいなもの……だった。
そのお隣さんの琉偉くん一家は、私が大学に入学する年の春、お父さんの仕事の関係で引っ越してしまった。
でも、その頃、私たちは、高校生と中学生。
ほとんど接点もなく、私が卒業旅行に行ってる間に、お別れの挨拶すらすることなく、引っ越していった。
ところが、私が大学を卒業する年、琉偉くんは、私と同じ、うちからほど近い所にある大学に合格した。
今も琉偉くんのお母さんと交流がある母は、電話でその報告を受けた直後、とんでもない提案をした。
「あら、じゃあ、琉偉くん、うちから通えばいいわよ」
うちは、兄2人が家を出てしまっていたので、部屋は余っている。
だけど、幼馴染とはいえ、他人と同居なんて……
でも、まぁ、私のかわいい弟が帰ってきたと思えば……
私は深く考えることなく、そんなふうに思っていた。
ところが……
小さくてかわいかった私の弟は、私より20㎝は背が高くなっていた。
かわいかった男の子は、爽やかなイケメンくんに成長していた。
嘘……
面影は…ある。
あるけど……
「みっちゃん! 久しぶり!
お世話になります」
そう、爽やかに挨拶する琉偉くんの声は、私の記憶にあるかわいらしい声じゃなくて、低い男性の声になっていた。
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