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私が彼と別れた翌週、琉偉くんは、彼女をうちに連れてきた。
小柄で女の子女の子したかわいらしい子。
別に悪い子じゃない。
むしろ、いい子だと思う。
でも、彼女が琉偉くんに甘えるように寄り添うのを見ると、無性にいらいらした。
これ……まさか、嫉妬!?
気づいた時、私は愕然とした。
私、もしかして、琉偉くんのこと……
なんて不毛なの。
琉偉くんは、私の勧めで彼女と付き合ってる。
何より、彼は私のことを、幼馴染のお姉さんとしか思ってないだろう。
忘れなきゃ!
私は、いらいらを隠して、上辺だけの笑顔で会話を取り繕う。
「美月さんも、彼氏さんをよく連れていらっしゃるんですか?」
にこにこした笑顔で話を振られて、焦った。
この幸せそうな子に、先週、別れたばかりだなんて言いたくない。
「前はね。
でも、就職してからは、忙しくて……」
そんな風にごまかした。
あれから、半年、私は、家族にも琉偉くんにも、彼と別れたことを隠している。
これ以上、琉偉くんに想いが向かわないよう、ブレーキをかけるために。
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