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終戦
まずい薬を飲ませられた。
でも、だいぶ意識も戻り、氷枕をヤツは持ってきた。
冷たすぎない水も。
ヤツは寝室へ僕を抱き入る。
そっとベッドへ降ろし、床に敷いた布団から僕を見ていてくれた。そしてほぼ寝ずに看病した。
僕はそっと立ち上がり、お父さんの布団へ潜った。彼は頭を撫でてくれる。
何をしたらいいかわからず、ベッドから降り布団へもぐり込む。
僕はくっついてお父さんの手を舐めると嬉しそうに笑った。
「くすぐったいな。お前だけだな。オレなんかを相手してくれるやつは。秀吉にだけ言うが、オレは寂しかったんだ。だが、お前に救われたよ。秘密だぞ」
救われたのは僕のほうだ。
お父さん、ごめん。
僕はさ、お父さんに構ってほしかっただけなんだ。
ありがとう。全力で救ってくれて。
僕はあたたかく、優しいぬくもりの中、ぐっすりと眠った。
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