秘密の恋

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******  今日も高杉は、七時三十分には作業着になっていた。  いつものルーティーンに加え、今日はナイルワニの餌やりがある。本来ならば藤木と浅香が行うが、二人とも出来そうにない。  藤木は手に怪我をしているし、浅香に至ってはここ数日、無断欠勤が続いている。  朝の涼しげな空気の中、花鳥園から数種類の鳥の囀りが風に乗って届いてくる。  途中から他のスタッフが出勤してきた。朝の挨拶を交わし、高杉は部屋の前に置いたバケツに、自身が釣った川魚が入っている事を告げた。  皆がバケツを覗き込み、高杉に礼を言う。それに照れ笑いを返し、高杉はナイルワニの餌のバケツを手に持った。  プールに近づくと、週に一度の餌の匂いにワニたちも気付いたようだ。高杉が放り投げた鮮度の良い生肉に、ワニたちが群がる。  バケツの餌はすぐに無くなった。  パトカーのサイレンが聞こえたかと思うと、それにつられて猛獣館の雄叫びが響きはじめる。 「気持ちのいい天気だなあ」  どこまでも抜けるような青空を眺めた高杉は清々しい気分で、ミオもいるナイルワニのプールへ、ゆっくり入って行った。      終
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