秘密の恋

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 皆の前で注意をするのはかわいそうだと思い、今日はミオだけ残るように言った。その時、感情を隠しもしないミオに高杉は睨まれた。十三も歳の離れた女の子に凄まれたのもショックだったが、あっという間に押し倒され、気付いたら騎乗位でミオが腰を振っていたのもショックだった。  「この事は、みんなに秘密ですよ」  シーツの上で、浅香ミオが言う。「う、うん」と焦って返事をしながら、高杉はミオのいう“この事”とは、どの事なのだろうと考えていた。  爬虫類館のラボを私有化した事なのか、高杉が童貞だと分かってミオが笑った事なのか、ポールパイソンの前で彼女の舌が艶かしく体を這い回った事なのか、施設のシーツを体液で汚してしまった事なのか、「今後も関係を持ちましょう」とミオが言った事なのか。 「早く服を着てください」  情事を終えたミオがクールに言う。四十路男の身体に見惚れる事は無いだろうが、男女の関係を終えた直後で、みんなこんなに冷たくなるものだろうか。  床に散らばった服をかき集め、背を向けてそそくさと身支度をする間も高杉に目もくれず、ミオがスマホを弄っている。
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