秘密の恋

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「き、君には嫌われていると思っていた」 「何故ですか? 私が高杉さんを嫌う心当たりでもあります?」 「知ってるんだ。お、俺は普通に注意している事を、みんなネチネチしてるって言ってるって」  バックヤードで高杉ではなく高ヘビと呼ばれている事も。現にミオも、勤務中に注意をした後に舌打ちをしていた事も。  薄汚れた緑の作業ズボンのチャックを上げ終えた時、ミオが高杉の背中に抱きついた。 「……嫌いなら、SEXしないでしょ?」  見た目以上に大きくて柔らかなミオの乳房が、シャツ越しの高杉に押しつけられる。今までのミオのイメージは“小生意気な娘”だったのに、その身体を知ったら急に“可愛い女”と認識が変わった。  高杉は身体をよじってミオと向き合った。顎下にミオの長い睫毛が触れる。  ミオから色々な所を弄られたが、キスはしていない。恋人になったのならば、自然な流れでキスもするだろう。高杉は唇をミオに近付けたが、するりと腕を外したミオが「早く帰りましょうよ」と笑った。  巷でいう小悪魔とは、ミオのような女性のことなのだろうか。それとも、キスをしようとしたのを気付かなかったのだろうか。  一回り以上も年が離れているのに、ガツガツしていると思われたくない。高杉は初めて出来た恋人に嫌われないよう、笑みを返した。
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