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episode1.勘違
あれは20X0年の……確か、六月の事だ。その日の夜。俺はいつものようにテレビをつけて見ていた。
「…………」
ニュースでは、どうやらその日の午前中にここから近いところにある中高一貫の学校で、理科室まるごと吹っ飛んだという『大事故』が起きたらしい。
「うわぁ、すごいな。コレは」
パッと画面が切り替わり、事件現場の映像が流れると、自分でも意図せずにそんな声がこぼしていた。
それくらい、今映った『教室だったと思しき場所』は、元の原型を留めていない無残なモノだった。
しかし、この爆発により吹き飛んだのは現場となった理科室のみで、同じ階にあった他の教室やその周辺の教室は窓ガラスが割れたりヒビが入ったくらいで済んだらしい。
「…………」
ただ、俺はこの映し出された理科室の惨状から「発生した爆発の規模は下手をすれば後二つか三つの教室が吹き飛んでいてもおかしくない。むしろ、この程度で済んだだけでも奇跡だ」と感じた。
ニュースによると、この学校には『副教科』と呼ばれる音楽、家庭科、書道や美術などの教室は一つの棟としてまとめられており、理科室もその言わば『副教科棟』とも言えるこの中に含まれていた。
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