episode9.未来

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◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 『…………』  ――崩れていく。  兄さんが作った世界……いや、僕がこの世界に無理矢理に作りこんだ世界が崩れ、壊れていく。  ――これでいい。元々、この『世界』ううん。この『場所』は存在してはいけなかったモノなのだから。  僕が消えたところで何も問題はない。  元々の僕が入る前のシステムに戻って、僕の代わりが出来上がって、たまにあのモンスターが現れて、人間たちは一喜一憂する。  その形は何も変わらない。そんなモノだ。  たまにある『昔の出来事』とかを特集した番組で「そんな事もあったなぁ」なんて話をするための『話題』でしかない。  自分の身近なところでこういった『大変な事』が起きなければ、人というのはいとも簡単に忘れてしまう。 『ああ、そうか』  奏兄さんは、ずっとそれを考えていたのか。  自分の見た目が、他人より目を引いてしまうからこそ『見た目』だけの印象が強すぎてしまうから、奏兄さんは自分自身が生きたという『(あかし)』を遺したかったのか……と、ようやく理解した。  でも、だからこそ。僕は、奏兄さんを殺した人たちを許せなかった。  奏兄さんに『ゲームを作る』という道に進むきっかけを作り出した『彼』が許せなかった。  だから、自分たちで足の引っ張り合いをしている人間たちに「手を貸している」フリをして、最終的には『脅し』までして、自分の目的を達成しようと相談者たちを『彼』の元へと(いざな)った。
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