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「元気そうだな。光」
「うん、兄さんも元気そうでよかった」
病室に入ってきた俺に気が付くと、ベッドに腰かけていた『白い少年』は顔を上げて満面の笑みで答えた。
西条光は、俺の実の弟である。
ただ、見た目は黒髪黒目の俺とは違い、少し白っぽい髪をしている。そして、光の好みなのか、いつも着ているモノも白いモノが多かった。
目も、パッと見た感じ少し黒みが薄い……と、これほど見た目が違うからなのか、俺たちを初めて見た人は『似ていない兄弟』と勝手に思われ、変に気を遣われる事が多かった。
「あ、そうだ。いつもの『ヤツ』買って来たぞ」
俺は早速、光のベッドの前にある机の上に買ってきたシュークリームが入ったケーキの箱を置いた。
「いつもありがとう、兄さん」
「いいって、気にするな」
「それにしても、いつも思うけど兄さんがケーキ屋さんでケーキを買っているっていう光景を想像するだけで……うん。面白いね」
「ははは、まぁそう言うな。別に男がケーキ屋に行っちゃいけないって決まりはないだろ?」
そう言うと、光は「そうだね」そう言いながら口元に手を置きながらクスクスと笑った。
それに、光の言う通り『俺みたいな男と可愛らしいケーキ屋。さらにファンシーな雰囲気を添えて』は、自分でもかなかな違和感だとは、実はいつも思っていた。
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