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まぁ、それはそれとして――。
「失礼だな。せっかく人が買ってきてやったって言うのになぁ。全く」
俺がそう言いながら置いた箱を下げようとしたところで――。
「ごめんごめん。ありがとう」
「……全く調子のいい」
「あっ、そうだ。飲み物なんだけど」
「ん? コレだろ? いつも飲んでいる」
「え、買ってきてくれたの?」
「いつも飲んでいるからな。ただ、いつもストックされていたから、いらないかもとも思っていたんだが」
「ううん。今日に限って残り一本しかなかったから、どうしようとかと思っていたんだ。ありがとう」
「どういたしまして」
俺がそう言うと、光は「助かったぁ」と安堵の表情を見せていた。
確かに、いくら甘いモノが好きだと言っても、シュークリームに限らず、甘いモノには飲み物がないとなかなかにキツイ。
一応、この三階にはちょうど自販機がたくさん置いてある場所もあるにはあるが、いつも光が飲んでいるモノは一階のコンビニにしかない。
しかも、俺が「そろそろ着く」と連絡を入れた事もあって、さらに困っていたのだろう。
「それで、俺に聞いて欲しい話ってなんだ?」
「あっ、そうだった。それで呼んだんだった」
「おいおい、確かに『探偵』としてはヒマを持て余している人間だが、なんだかんだで色々と大変なんだぞ?」
「ははは、ごめんごめん。ちょっと待ってて、呼んでくるから」
「呼んでくるから?」
「うん」
光はそう言うと、そのままパタパタと病室を出て行った。
「…………」
今の言い方だと、俺に用があるのは光ではなく『光の知り合いの誰か』という事になる。
しかし、そんなに仲のいい人がいる事自体知らなかった俺は内心少し複雑に思いながらも、光が帰ってくるのを大人しく待つことにした。
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